揚げたてゴキブリの生き方

絵を描いて、読書して、旅をして。 版権多め。

おとなの絵本はいかがでしょうか?

今週のお題特別編「素敵な絵本」

 『はらぺこあおむし』はきらきら明るい春の絵本。その”春”は、あおむしだからというわけでなくて、”春のような暖かさを持つ”意味です。

 ……では、逆は?

 『アライバル』はまさに冬の絵本。季節がすぎて、あたりがすっかり暗くなって。そんな冬。それでも、希望が絶えたわけではないのです。静かで寒々とした中で、やはりどこか暖かな絵本。それが、冬の絵本。

 そしてそんな冬の絵本こそ、おとなの絵本だと思うのです。私はそんなおとなの絵本が大好きなのです。

 

 ということで、そのはなし。

   いくつかの絵本を読みました。それは、子供の頃ではなく最近のこと。悲しいことに昔の絵本の内容はすっかりと忘れてしまいました。「あんなのがあったね、 こんなのがあったね。そういえば、この本、あなたは好きだったのよ。」と母が言っても、私はほとんどを覚えていませんでした。それが少し悲しいのはなぜで しょうかね。

 閑話休題。それで、今日は絵本のはなしですね。みなさんも絵本は読んでますか?子供の頃ではなくて、最近のことですよ。私は先にも述べましたが読んでいます。この間はどうしてもと買ってしまいました。

はらぺこあおむし

はらぺこあおむし

 

  じゃーん! 『はらぺこあおむし』です! あおむしが可愛くて可愛くて、つい買ってしまいました。みなさんも一度は読んだことがあるかと思います。

 内容はあおむしがいろんなものを食べていって、蝶になるというシンプルストーリー。これの何がいいのかって、絵本ですから、やはり絵でしょうか。エリック=カールの色彩はどんな絵であってもひと目でわかりますよね。明るくてはきはきとした色彩は元気になれます。

  実は50周年記念ではらぺこあおむしのガチャガチャも出たり、はらぺこあおむしのキーホルダーやポーチといったグッズもでていて……最近はあおむしを見か ける機会も増えたんですよ。ご存知でしたか? ちなみに、私の携帯にもはらぺこあおむしのストラップがぶら下がっています(*´∀`*)

 

 でもでも、今日の主役はあおむしじゃありません。それが噂の『大人の絵本』というものです。

 「おとなの絵本?絵本って、子供のためにあるんでしょ?」と思うかもしれません。確かに、絵本とは絵をメインに据えた本だからこそ絵本というのですが……なにも子供のためにあるわけではないんですよ。漫画だってそういう意味では絵本と言えるかもしれませんね。

 絵だけで世界が描かれている絵本もあります。絵だけの絵本はストーリーなどが明示されていなくてとても深く感じられるものだったり。絵本=こどものものではなくなってきたのだと思います。(そうは言っても、”一番は”こどもたちのためでしょうけれども!)

 そう、たとえばこの本。

アライバル

アライバル

 

  ショーン・タンの『アライバル』です。表紙の雰囲気を見ていただければわかるかもしれませんが、子供のための絵本にしてはどこかほの暗い。しかし、あらゆるものは絵で書かれています。つまり、やはりこれも絵本なんですね。

  内容については……今回は割愛します。というよりも、私もイマイチ説明ができないのです。こんな感じかなというのはあるのですが、明確なストーリーが提示 されているわけでもなく、道筋はあっても、こうだと言えるものはないのです。ですので、こうだとかくにもかけず、今回は割愛。

 非常に難解と言ってもいいのかもしれません。想像力は必要でとても深い。不安にさえなる世界観を少しでも読み解くには、解釈するには、どことなく知識も必要で。そんな頭でっかちに読むものじゃないのは分かっていても、この世界のことを知りたい。知りたいと思わせる何かがある。けれども、簡単にわかるような手がかりは少なくて……うわぁあああ!

 ……と、そんな感じの本です。どんな感じだと言われても、こんな感じ。見入ってしまうというのを久々に味わったのもこの本でした。結局、世界観やストーリーについては未だにはっきりとしていません。お恥ずかしいことに一度読んだきりですしね。

 代わりに、これだけは言えます。読む人それぞれにそれぞれのストーリーを思わせる作品である、と。まだ読んだことがない人がいるのでしたら、是非読んでもらいたい一冊です。

 

 あ、そうそう、これをすっかり忘れていました。

 『アライバル』は基本的にモノトーンなんです。前述のはらぺこあおむしなどに比べると、色味という色味はさっぱりなくて、淡々としている。しかし、その 絵は非常に緻密で、時に鮮やか、時にほの暗く、時にのどかで、時におどろおどろしい。まぁ、両者はタイプが違うのですから違って当然ですし、そもそも私程 度が比べるのもおこがましい話なのですが……そうですね。『はらぺこあおむし』が若く明るく華やかで輝かしい希望を見せる”春”の絵本ならば、『アライバル』は壮齢で厳かながら静かな希望を見せる”冬”の絵本といった感じでしょうか。

 この冬の絵本こそ、私の思うおとなの絵本にほかなりません。

 

 最近では、絵本コーナーに『おとなの絵本コーナー』を設けている本屋もあります。『アライバル』もそこにそっと陳列されています。他にも、エドワード・ゴーリーのちょっとダークな絵本や、ショーン・タンの他の絵本もオススメです。よければ是非、お手にとってみてください!(笑)

 ということで、”私の好きな絵本”はこちら、『はらぺこあおむし』と『アライバル』でした!